侘しいぜいたく

『さきごろ千葉県のある町にゆき、ある宿に泊まった。熱い夕方で、取り敢えず一風呂あびてというところだが、「手前どもでは、牛乳風呂で…」という。途端に、ぼくは足がすくんだ。
…18世紀末、ルイ16世の王妃マリー・アントワネット、窓外に遠く民衆の喚声をきく。侍従の曰く「民衆はパンを求めて叫んでおります」「なに? パン? パンがなければ、民衆とやら、なぜ、お菓子を食べないのかしら?」 結局、プルボン王朝を棒に振ってしまったというのだが、奢侈贅沢もそこまでくるとほんものだろう。それでこそ牛乳風呂もぴったりする。 ー 中略 ー ぼくのいいたいことは、いまの日本の社会に満ち満ちている、なにかバランスのとれていない、ものの考え方に根ざしたもろもろの現象ー なんとしてもほくは気持ちがなじめないのだ。』

東金図書館で、偶々手にした「第三の随筆」(池田 潔著)からの一節です。
昭和30年8月に発行された本ですから、当時と比べて今の世の中は、さぞ良くなっているものと考えているかも知れません。 しかし、昭和の時代に化石化してしまった私には、この随筆集に書かれていることが、我が事のように思えてしまいます。

話は変わりますが、いつの日の朝でしたか、ふっと湧いて出たある想いを、忘れない内にメモしておくことにします。

  • 看板在るがゆえに自由になれない
  • 理論を唱えなくとも、歴史を忠実に紐解くことで注目を浴びる

若い世代の方たちには、その方たちなりの考え方があると思いますが、もしかしたら今の世の中は「ブルボン王朝」のように見えるのかも知れません。

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